来歴
市松は色黒で長身の細身、一方の芳子はぽっちゃり型。洋服の多くなっていく漫才の中で市松は終生和服で通したが、芳子は時に真っ白なすその長ドレス 一番最初に漫才でミスワカナだと言われているがそれ以前にドレス姿で高座に立っている。 で舞台で三味線を弾く。それだけでいつも笑いがあったという。
市松はもともと喜劇の出身で、途中から安来節出身の妻の芳子とコンビを組んで漫才に転じた。
市松は喜劇出身らしく、漫才に「俄」の見立ての要素を取り入れたアイデアを次々に考案する。
はじめ、市松は当り鉦、芳子は三味線という舞台であったが、やがて十八番となる「台所メロディ」(または「台所ジャズ」)という珍芸を考案する。鍋、釜、茶碗から皿小鉢などの台所道具一式、のみならず自動車のラッパや自転車のベルまでおよそ音の出るものはすべてワゴンに乗せて高座に登場し、芳子の三味線と合奏を始める。一種の見立てである。
その他、戦後ストリップが流行ると、安物のカーテンを身に纏い、銀紙を張った星を胸に当ててスパンコールに。芳子の三味線に合わせて踊り、脱いでいって細身の体をチラリと見せる。これも「俄」風の見立てである。