来歴・人物
当初は競輪選手を目指しており、中学時代には自転車競技で全国大会に出場を果たすなどしていたが、高校時代に交通事故に遭い、検査の際、足に腫瘍が見つかったことから断念、吉本総合芸能学院に5期生として進学する。同期には亀山房代、前田勝(ティーアップ)、ぜんじろうなどがいる。1998年頃の単発番組で伊勢への遍路歩き中に腫瘍が再発した。また、現役競輪選手とも交流がある。
卒業後、漫才コンビ、三角公園USAとして心斎橋筋2丁目劇場で活動。ダウンタウン司会の「4時ですよーだ」(MBSテレビ)にもアシスタントとして出演していたが、レギュラー昇格のチャンスが巡って来る前に番組が終了してしまった。
1989年コンビを解散し吉本新喜劇に入団する。当初は、同時入団の今田耕司、東野幸治らが主役級の大役をもらう一方、アゴネタでいじられてすぐに出番が終わる、セリフの少ない端役ばかりであった。そんな中、間寛平が「辻本のツッコミはおもろい」と周囲に売り込んだおかげで少しずつ頭角を現し、今田、東野が退団した後は主役級まで昇格、1995年にはニューリーダーに就任した。同年頃から若手育成の場として「辻本茂雄芝居全集」を開始する。
趣味は競馬であり、競馬歴1年にして3連複を見事に的中させたこともある。自らがレギュラー出演中の競馬展望番組サタうま!(関西テレビ放送)では「万馬券ハンター」「GIハンター」と異名されるほどである。馬券は一応過去のレースのデータに基づいているものの、「超」がつくほどの本命党。その予想はサタうま!でも見受けられ、本命(前日オッズの1番人気)ともう1頭の人気馬を挙げ、あとはその2頭から全ての馬に3連単で、マルチで流すというもので、ほぼパターン化している。しかし2007年5月12日に予想したヴィクトリアマイルにおいて、サタうま!史上最高倍率である22839.6倍の超穴馬券を的中させた。
アゴがしゃくれている特徴的な顔で、NHK総合「バラエティー生活笑百科」では上沼恵美子に「ペリカンに似ている」と揶揄されることもある(昔、同級生の女子に、下敷きに『アゴ、絶壁、ペリカン』と書かれたことがある)。また、青年時代には当時の人気少年漫画ハイスクール!奇面組の主人公、一堂零に似ていると言われていたとも証言していた。一時期、タイヘイ一門の総帥・タイヘイ夢路の隠し子説も出回っていた(「ナンバ壱番館」に夢路が出演した時のトークより。夢路もシャクレ顎であり、また夢路の本名が「辻本節子」のため)。
コンビ解散時のエピソードに、ピン芸人として活動するには本名の辻本茂雄という名前は普通すぎる為、当時2丁目劇場で共演していた先輩であるダウンタウンの松本人志に芸名を考えてほしいと相談した事もあった。松本は5分間ほど考えた結果「カマンベールチーズ」という芸名を提案したが、提案した松本も提案された辻本もなぜこの芸名になるのか意味がよく理解出来ていなかったため断念し、結局本名のまま活動する事になった。
2004年には、第33回上方お笑い大賞において、大賞を受賞した。
「サタうま!」に出演以来、中央競馬関係者との交友関係を深めており、特にディープインパクト号については、自ら応援団長を買って出て、陣営のお墨付きを得るほどの仲である。ディープインパクト号が2006年凱旋門賞に出場した際には、番組を通して視聴者デザインをベースとしたオリジナル馬服をプレゼントした。また、同番組で藤田伸二騎手、藤原英昭調教師と対談したとき、藤田騎手から「このコンビでG1取ったら一緒に写真(口取式)撮りましょう。」と誘われ、2008年5月18日に開催された第3回ヴィクトリアマイルで現実の物となる。
新喜劇での傾向
1999年より座長に就任する
新喜劇では特に吉田ヒロと対照的にマンネリ(保守的)な芝居、とりわけドタバタコメディを好む座長で、自らが制作に関わったストーリーでは「茂造じいさん」という、とにかく場をかき乱すハチャメチャで元気な老人、またはお人好しのヤクザを演じている(これらは下記で詳述)。毎回同じストーリーであるため、テレビで毎週新喜劇を観ている者のためではなく、NGKにツアーでやってきた団体客のための上演といっても差し支えない(月曜夜の稽古が、ほかの座長のときよりも早く終わるらしい)。しかし、新喜劇座長の中では、客に対する人気が一番高く、登場時の歓声は大きい。
また、他の座長とは違い、
- クライマックスの泣き落としの場面ではいらないことを言って、笑わせることが多い(他の座長であれば静かにするか、場を納める役割を果たす)。
- ストーリーや配役ではなく、セットや仕掛け、暴力(下記)で笑わせる傾向(茂造が杖で叩くと階段が坂になるなど)が最近多く見受けられる。2007年3月17日の収録では、テレビを意識してスタッフが傾斜をきつく設定した階段をたかおみゆきがものすごい勢いで滑り落ちて、客席に転落しそうになったが、その場は大爆笑を取れて丸く収まった模様。
吉本最強の暴力王と言われる石田靖ほどではないが、やや暴力的なツッコミ(主に浅香あき恵とたかおみゆきに対して)も特徴である。浅香に対しては「バケツをかぶって顔を隠せ!」と怒り、たかおに対しては「おもんない!」「ブサイク!」などと言いつつ頬をひっぱたいたり、灯油タンクで思いっきり殴って椅子から落としたり茂造じいさんの時は杖で後ろから力いっぱい叩いたり、など枚挙にいとまがない。
他の座長に比べて若手を多用する傾向がある。アドリブに弱い座員(特に島木譲二)にアドリブを振って、スベったり気づかなかったりすると「突っ込め!」っと叩いたり、「アドリブ弱い奴やな~!!」「はっきり言うわ!!お前、アドリブ弱すぎんねん!!」っとイジることが多い。
過去には烏川耕一・安尾信乃助・島木譲二・末成由美をレギュラー各とし重用していた。最近ではブレイクを目指す若手山田亮、秋田久美子、伊賀健二、平山昌雄、たかおみゆきをレギュラー格とし重用するようになり彼らのランクアップの後押しをしている。
なお、辻本が座長の回のみ作家(村上太)と演出家(鈴木健之亮)が2006年以降、固定されている。